二胡は、胡琴類に属する伝統的な擦弦楽器です。二胡の「胡」とは、モンゴルなど外部の民族を指し、もともとはこれらの民族の楽器をまとめて「胡琴」と呼んでいました。現在では、「胡琴」という言葉は、二胡などの弓を弦で擦る楽器を指す総称として使われています。
二胡の起源と「奚琴」
二胡の由来にはいくつかの説がありますが、唐の時代には、現在の二胡に非常に近い形の「奚琴」という楽器が流行していました。奚琴は竹で弦をこすって音を出す楽器で、この楽器の登場によって、中国伝統楽器には「吹く」「打つ」「弾く」「拉く」という四つの奏法が揃いました。このことが、中国音楽における楽器の多様性を広げる重要な一歩となったのです。
宋の時代と「稽琴」
宋の時代になると、奚琴は進化し「稽琴」という楽器に変わりました。そして、モンゴルから馬尾胡琴(ばびこきん)が登場し、馬の尻尾の毛を使った弦が特徴的でした。この楽器の進化が、後の二胡、京胡、高胡など、さまざまな弓弦楽器に大きな影響を与えました。
中国の楽器の発展
清の時代に入ると、二胡をはじめ、月琴、洋琴(現在の楊琴)、三弦、スオナーなど、中国の多くの楽器が誕生し、音楽文化はますます豊かになりました。
このように、二胡は長い歴史の中で進化を遂げ、現在のような形に至りました。中国音楽の重要な要素である二胡は、その音色と演奏技法で多くの人々に愛されています。
(人民音楽出版社の中国民間音楽概論より翻訳)